
「人事を尽くして天命を待つ」
小さい頃、父から耳にたこができるほど聞かされた言葉。
当時、私にとっては、剣道の師でもあった父は、稽古に入る前に
必ずこの言葉を言っていた。
「人間として出来るかぎりのことをして、
その上は天命に任せて心を労しない」(広辞苑)
自分ができること、考えうることを全てやれば、きっと良い結果が
出るはずだ、と幼いながらに信じ、励んできた。大人になるにつれ
その解釈はよりストイックなものとなっていった。
人生の転機において、私は多くの挫折を味わった。
ここまでやって、ここまで極めて、なぜ、このような結果になったのか。
取り返しがつかないほど自分の人生や夢に敗れる瞬間があった。
極端な私は何もかも犠牲にして取り組む。絶対に負けない、絶対に
成功させる、100%手ごたえを感じ、成功したことを確信する。
そして、私はことごとく敗れるのだ。
絶対に負けてはならないという局面になればなるほど敗れてしまう弱さ。
何もかも犠牲にして、そのことだけ全てを費やして、一体どれだけやれば
成功するのか。狼狽し、嘆き、何もかも投げ出してしまいたい衝動に
駆られてしまう。
いつしか私は、自分ができる100%ではなく、120%、200%やって
初めて人並みの結果を得ることができると思うようになった。
人並みの人事を尽くしても結果は得られない、天命は良い結果とは
限らない。結果は取りに行かなければ得ることが出来ない。
その屈折したバランス感覚は、経営者になってより一層強まったと思う。
私にとっての成功や勝利とは、ビジネスの成功ではないと思い始めた。

