
表に出ると、雪がちらついていた。
凍えるほど寒いはずなのに、体に残る余熱がそれを感じさせない。
とまっていた時間が動き出した証拠なのか。
不思議なもので、何かを思い出そうとすると、色がついていたり、
記憶の断片だけが繰り返しループのように流れたり。
オレンジ色の甘い色だったり、
モノクロームの冷たい景色だったり。
スローモーションの映像だったり、セピア色のスチルだったり。
流れるピアノの音、オーセンティックなバー、雑踏、
川に移りこむ景色、記憶に残る一つ一つの言葉。
いくら記憶を彷徨っても、現実世界に引き戻される。
私が私である理由を問い続けられ、孤独や困難や焦燥感を何度も何度も
突きつけられては、目を瞑って乗り越えなければならない、
そんな世界に簡単に連れ戻されてしまうのだ。
自分で選んだ世界。私が棲む領域。
その世界と世界を移動するわずかの時間が、
あまりにも儚くて、
その儚さに慣れることはもうずっとこの先もないのだと
分かっているから、余計に寂しくて。
いつもより少し甘めの清涼菓子が、何かから救ってくる気がした。

