
百道浜の海は、泣いていた。
もし何年も眠り続け、たった今、目を覚まして、
この砂浜に立ったとしたら、
今日は何月で、今がいったい何時なのかさえ分からないほど、
肌寒く、薄暗く、そして、冷たい小雨が降っていた。
昔の私の声が聞こえる。
はしゃいだり、笑ったり、誰かと出会った場所、別れた場所。
私はいつ大人になってしまったのだろう。
記憶を遡ってもそれがいつだったのか、
どうしてだったのか、思い出せない。
今でも子供のように泣き、
小さな出来事に一喜一憂する。
それでも、私は随分変わってしまった。
強くなったし、弱くもなった。
これからも、私は変わり続けるだろう。
でもそれは、何かを失うことではなく、
どこかへ向っていくだけのこと。
もっとたくさんの優しさや愛情を持とうと思う。
もっと誠実に、もっと強い心を持って生きていこうと思う。
本当に守りたいものが、ちゃんとこの手で守れるように。
この闘ってきた数年が、決して無にならないように。

