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【2026年最新】越境EC対応は「直送」か「代理購入」か|メリット・デメリットを比較して選び方を解説

【2026年最新】越境EC対応は「直送」か「代理購入」か|メリット・デメリットを比較して選び方を解説

1. はじめに:越境対応の方法は大きく2つに分かれる

国内通販を運営していると、海外からの問い合わせが少しずつ増えてきた、という話をよく聞きます。インバウンドで来店されたお客様に、帰国後の購入方法を尋ねられたケースもあるかもしれません。

ただ、いざ検討を始めると、多言語サイト、関税、通関書類、英語での問い合わせ対応と、確認すべきことが一気に増えます。可能性は感じるものの、どこにどれだけリスクがあるのか読みきれない。そこで止まっている担当者の方は多いはずです。

越境対応の方法は、大きく2つに分かれます。自社で海外へ直接発送する「直送型」と、代行事業者が海外のお客様に代わって購入・発送する「代理購入・転送型」です。この記事では両者のコスト構造とリスクを整理し、自社がどちらから始めるべきかを判断する材料をまとめます。

2. データで見る越境ECの市場規模

2-1. 中国・米国だけで4兆円を超える市場

まず市場規模から確認します。2024年の日本国内のBtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)、EC化率は9.8%でした(*経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」2025年)。国内市場は伸びてはいるものの、成長は緩やかになりつつあります。

対して越境では、中国の消費者が日本の事業者から購入した金額は2兆6,372億円(前年比8.5%増)、米国の消費者による日本からの購入額は1兆5,978億円にのぼります(*同調査)。この2か国だけで4兆円を超える規模が、すでに「日本の商品を買いたい海外の消費者」によって動いているということです。

2-2. 海外からのアクセスは、すでに自社サイトに来ている

重要なのは、この需要が自社サイトにもすでに来ている可能性が高い点です。越境対応サービスを提供するジグザグ社は、日本語のみ・国内発送のみのECサイトであっても、月間アクセスの平均2〜8%程度が海外からのものだと指摘しています。

SNS経由で商品を知り、公式サイトにたどり着いたものの、海外住所が入力できずに離脱している。その分が、そのまま機会損失になっているわけです。

まずはGA4で「国」ディメンションを確認してみてください。想像より多い数字が出るケースは珍しくありません。

3. 越境対応の2つの方法

3-1. 直送型:自社で海外のお客様に直接販売・発送する

Shopifyなどのカートで多言語・多通貨に対応し、海外の消費者から直接注文を受け、自社(または物流委託先)から国際配送便で発送する方式です。決済も自社が海外カードやPayPalなどで受けます。

お金の流れも、商品の流れも、顧客情報も、すべて自社を通ります。

3-2. 代理購入・転送型:代行事業者が間に入る

海外のお客様が自社サイトにアクセスすると、代行事業者の専用カートやサポートサイトが表示され、そこで注文と決済が行われます。代行事業者のスタッフが、自社ECサイト上で国内の倉庫宛てに購入手続きを行い、店舗側は国内配送と同じ感覚でその倉庫へ商品を送るだけ。以降の通関・国際配送・多言語での問い合わせ対応は、すべて代行事業者が担います。

代表的なサービスは2つです。

WorldShopping BIZ(株式会社ジグザグ)
指定のJavaScriptタグを既存ECサイトに1行追加するだけで導入でき、海外ユーザーがアクセスするとポップアップで案内が表示され、専用カートが使えるようになります。料金は初期費用33,000円・月額5,500円(税込)で、売上手数料はかかりません。

tenso(BEENOSグループ)
海外向け購入サポートサイト「Buyee」を自社サイト上に表示し、注文受領後にスタッフが国内倉庫宛てに購入手続きを行って海外配送する仕組みです。2,000サイト以上・120か国への配送実績を持ちます。海外ユーザーが日本国内の私書箱住所を取得して自分で購入する「転送コム」もあり、こちらは2008年から提供されています。

ここで押さえておきたいのは、代理購入型では取引の相手が国内の代行事業者になるという点です。店舗から見れば国内販売であり、海外の消費者と直接の売買契約を結んでいるわけではありません。この一点が、次章のメリット・デメリットのほとんどを規定します。

4. 直送型と代理購入型、それぞれのメリット・デメリット

4-1. 直送型のメリット

顧客データが自社に蓄積される
誰がどの国から何を買ったのか、メールアドレスも配送先も自社に残ります。リピート施策、LTVの分析、現地向け広告のオーディエンス作成は、このデータがあって初めて成立します。越境を単発の売上ではなく事業として育てるなら、ここが分かれ目です。

価格と購入体験を自社で設計できる
送料を商品価格に含めるのか、一定額以上で無料にするのか。関税を店舗が負担するDDPにするか、着払いのDDUにするか。梱包や同梱物も含めて、国内と同じ水準で作り込めます。

輸出免税が適用される
海外への直接販売は輸出取引にあたり、消費税が免除されます(適用には輸出証明書類の保存が必要です。処理の詳細は顧問税理士にご確認ください)。10%分を価格から外せるため、現地での見え方が変わります。代理購入型は国内取引の扱いになるので、この差は小さくありません。

現地マーケティングとつながる
Meta広告やSNSから自社サイトに直接着地させ、その国の通貨と言語で購入まで完結させられます。広告費と売上の対応も、自社の計測で追えます。

4-2. 直送型のデメリット

構築と運用に工数がかかる
多言語表示、多通貨決済、送料テーブル、国際配送の連携。Shopifyであれば標準機能でかなりの部分をカバーできますが、設計と検証の工数はそれなりに見ておく必要があります。

通関まわりの知識が要る
インボイスの作成、HSコードの割り当て、原産地の表示。商材によっては輸出自体に制限がかかります。化粧品、食品、アルコール、リチウム電池を含む製品などが該当します。送れると思っていた商品が送れない、というのは立ち上げ時によくつまずくところです。

多言語の問い合わせ対応と時差
届かない、サイズが違う、といった問い合わせに、英語や中国語で、相手の時間帯に合わせて答える必要があります。返品送料をどちらが負担するかも、国内以上にはっきり決めておかないと揉めます。

ただしここは、ここ数年で難易度が大きく下がった領域でもあります。AIチャットや翻訳を組み込めば、一次対応の多くは内製でカバーできるようになりました。人を採用しなければ直送は無理、という前提はすでに崩れています。判断すべきなのは、どこまでAIに任せ、どこから人が出るかの線引きのほうです。

不正注文とチャージバック
海外発行カードの不正利用は、国内より発生率が高い領域です。発送後にチャージバックが成立すると、売上と在庫の両方を失います。

4-3. 代理購入・転送型のメリット

最短数日で始められ、固定費が小さい
タグ1行、あるいはバナー設置のみ。既存サイトの改修がほぼ不要なため、社内稟議のハードルも低く抑えられます。

オペレーションを一切変えなくていい
国内倉庫へ出荷するだけです。倉庫スタッフに新しい手順を覚えてもらう必要も、国際送り状を書く必要もありません。

通関・国際配送・多言語CSを丸ごと外部化できる
禁制品の判定や配送トラブルの一次対応も代行側が担います。社内に越境の知見がゼロでも成立します。

決済リスクを負わない
代金は代行事業者から国内取引として支払われるため、海外カードの不正やチャージバックの影響を直接受けません。

需要があるかを低リスクで検証できる
どの国から、どの商品に注文が入るのかを、数万円の固定費で確かめられます。越境の可否を机上で議論するより、数か月走らせたほうが早いケースは多いはずです。

4-4. 代理購入・転送型のデメリット

顧客データが自社に残らない
購入者情報は代行事業者が保有します。「台湾で人気が出ている」ことは分かっても、その顧客に直接アプローチすることはできません。再購入も代行経由が前提になります。

最終価格が高くなる
店舗側の手数料は安くても、購入者は国際送料と各種手数料を負担します。同じ商品でも海外のお客様が支払う総額は国内より大きくなり、価格で競合する戦い方には向きません。

購入体験を細部までは設計できない
カートのUIも、配送のスピードも、遅延時の連絡も、代行事業者側の仕様です。ブランドの世界観を最後まで作り込みたい場合には制約になります。

海外売上として可視化しづらい
会計上は国内売上として計上され、輸出免税も適用されません。海外需要の分析も代行側のレポートに依存します。

施策の打ち手が限られる
現地向けクーポン、セール設計、CRM。自社で回せる施策の幅は、直送型より狭くなります。

5. 直送型と代理購入型の比較


比較項目 直送型 代理購入・転送型
導入までの期間 数週間〜数か月 数日〜2週間程度
初期・固定コスト 中〜大 小
社内オペレーションの変更 必要 ほぼ不要
顧客データの保有 自社 代行事業者
購入者の最終負担額 抑えやすい 高くなりやすい
消費税の扱い 輸出免税の対象 国内取引として課税
通関・配送の実務 自社 代行事業者
多言語カスタマーサポート 自社(AI活用で負荷は下げられる) 代行事業者
不正決済・チャージバック 自社が負担 実質的に負わない
制度変更への対応 自社で追随 代行事業者が一次対応
ブランド体験の設計自由度 高い 限定的
向いているフェーズ 需要が見えていて、伸ばしにいく段階 需要があるか検証する段階

6. 事例:同じ代理購入スタートでも、進む道は分かれる

弊社でご支援しているクライアントにも、両方の形があります。どちらも入口は代理購入型でした。

6-1. アパレルブランド様:代理購入で需要を見極めてから直送型へ

自社ECへの海外アクセスに対し、2022年ごろから代理購入型で対応を開始しました。運用を続けるうちに、どの国からどの商品に注文が入るかが蓄積され、海外需要が数字で見えてきた段階で、2025年末に直送型へ切り替えています。

切り替え後に効果を実感されているのは、購入者への再アプローチが可能になったことです。リピート施策が打てるようになり、広告配信と売上を自社側で結びつけて判断できるようになりました。

判断を後押ししたのが、AIの活用です。直送型で最も重い負担とされてきた多言語カスタマーサポートを、AIで相当程度まで賄えるようになりました。以前は英語・中国語の対応要員をどう確保するかが越境内製化のボトルネックでしたが、この前提が変わった影響はかなり大きいと感じています。数年前に直送は難しいと結論を出した企業でも、いま試算し直すと答えが変わる可能性があります。

6-2. エンタメ関連企業様:代理購入型を活用し続ける

一方で、2022年ごろから代理購入型を継続されているケースもあります。通販が事業の主軸ではなく、オペレーションに大きなリソースを割ける体制ではありません。

この場合、海外発送のために出荷フローを組み替え、多言語の問い合わせ窓口を新設するコストは、得られる売上に見合いません。国内倉庫へ出荷するだけで海外の機会損失を防げる代理購入型が、そのまま最適解として機能しています。

越境を事業として伸ばしにいくのか、機会損失を防ぐ手段として持っておくのか。目的が違えば、選ぶべき方法も変わります。

なお、両社が代理購入を始めた2022年時点と現在とでは、少額免税をめぐる前提が大きく変わっています。これから検討する場合は、次の点を踏まえて設計してください。

7. 2026年に押さえておくべき制度リスク

7-1. 米国:2025年8月にデミニミス制度が撤廃

従来は800ドル以下の輸入貨物について関税・税が免除されていましたが、この制度は2025年8月29日に廃止され、すべての輸入貨物が課税対象となりました。先行して2025年5月2日に中国・香港からの輸入品で停止され、8月29日に全世界へ拡大した形です。

小口の少額商品を1件ずつ米国に送る、という従来の王道モデルが成立しにくくなっています。

7-2. EU:2026年7月から少額小包にも関税

EU理事会は、これまで関税が免除されていた150ユーロ未満の小包について、2026年7月1日から3ユーロの関税を課すことで合意しました(*ジェトロ ビジネス短信)。貨物の価格にかかわらず、税関申告書上の商品アイテムごとに一律3ユーロが課されます。

さらに2026年11月1日からは、150ユーロ以下のB2C貨物に製品識別コード(PID)の記載が必要になるとされています。単価の低い商品ほど、コスト比率への影響は大きくなります。

7-3. 方式によって影響の出方が違う

この変化は、両方式に異なる形で効いてきます。

直送型では、価格設計と通関実務の見直しを自社で行う必要があります。関税を購入者に着払いさせるDDUのままだと、注文時の表示価格と受け取り時の請求額が違うという体験になり、受取拒否や低評価につながります。DDPで店舗側が負担する設計に切り替えるなら、その分を価格に織り込まなければなりません。

代理購入型では、この対応は代行事業者側が担います。ただし、購入者の最終負担が上がること自体は変わらないため、海外需要そのものが冷えるリスクは共通です。代理購入だから無関係、ではない点は押さえておいてください。

8. 自社はどちらを選ぶべきか

8-1. 判断の目安

代理購入型から始めるべきケース

  • 越境対応の経験者が社内にいない
  • 海外からどの程度の需要があるか、まだデータがない
  • 出荷オペレーションに新しい手順を追加する余力がない
  • まずは小さく始めて、社内で実績を見せたい

直送型を選ぶべきケース

  • すでに特定の国・地域から継続的な注文や問い合わせがある
  • 客単価が高く、国際送料を吸収できる商材である
  • ブランドとして、海外顧客と直接の関係を築きたい
  • 現地向けの広告・SNS運用に投資する計画がある

現実的には、併用や段階的な移行も有力な選択肢です。事例のとおり、まず代理購入型で需要を可視化し、注文が集中している国から直送対応へ切り替えていく進め方は、最もリスクが低い方法といえます。主要国は直送、それ以外は代理購入でカバーするという住み分けも成立します。

いきなり全世界を相手にする必要はありません。

8-2. まず着手すべき3つのこと

1. GA4で海外アクセスを確認する
「国」「言語」のディメンションで、直近12か月の海外セッション数と、閲覧されている商品ページを見てください。ここに需要の輪郭が出ます。

2. 輸出できない商品を洗い出す
薬機法の対象商品、食品、アルコール、リチウムイオン電池を含む製品、ライセンス許諾に地域制限がある商品。越境対応の前にこの線引きを済ませておくと、トラブルを避けられます。代理購入型のサービスにも、特定商品・特定国を販売対象から除外する設定が用意されています。

3. 3か月の検証計画を立てる
何をもって越境対応に手応えがあったと判断するのか。件数か、売上か、特定国からの継続注文か。指標を決めてから始めると、次の投資判断が格段にしやすくなります。

9. まとめ

越境対応は、直送型と代理購入型のどちらが優れているかという話ではありません。顧客データと購入体験を自社で持ちにいくのか、スピードと低リスクを優先するのか。自社のフェーズと、越境に何を期待するかで決まります。

同時に、2026年時点では少額免税の撤廃という逆風も吹いています。価格・配送・関税を織り込んだ設計を最初に済ませておくことの重要性は、以前より増しています。

株式会社デザイントランスメディアでは、Shopifyを中心としたECサイト構築から多言語コンテンツの制作、海外向け広告運用まで、越境対応を支援しています。自社の商材で越境が成立するのか、という段階からのご相談も承ります。まずはお気軽にお問い合わせください。


【参考データ・出典】

  • 経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(2025年8月公表)
  • ジェトロ ビジネス短信「EU、150ユーロ未満の少額小包に3ユーロの関税を課すことで合意、2026年7月1日から」
  • ジェトロ 地域・分析レポート「米国デミニミス制度廃止の衝撃」
  • 株式会社ジグザグ「WorldShopping BIZ」公式サイト
  • tenso株式会社 公式サイト

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