実店舗を構えている企業の経営者や、本部のマーケティング担当者から、こんな声をよく聞きます。
「SNSやWeb広告には取り組んでいるが、実店舗の売上にどれだけ貢献しているのか実感が持てない」「Webチームと現場の温度差があり、なかなか施策が浸透しない」——。
実店舗とWebマーケティングは、切り離して考えられがちですが、実際にはこの二つをどう連携させるかが売上を左右します。
本コラムでは、BAR飲食店とアパレルショップの事例をもとに、実店舗とWebをうまく噛み合わせるための実践的なポイントをご紹介します。
目次
事例紹介:業界別で見る、実店舗×Web連携
一口に「実店舗×Web」と言っても、業態によって連携の中身は変わってきます。
ここでは、飲食系とアパレル系、それぞれの特徴を見ていきます。
BAR飲食店の場合
実店舗の運営チームとWeb担当チームは、月に1度、定例会議を実施しています。
会議で話しているのは、主に次のような内容です。
- SNSの運用方針や投稿の進め方の共有
- 店舗で起きている現状の共有
- 現場で発生している課題の相談
- 採用に関する相談(飲食業ならではの内容)
予約管理についても、以前は複数のシステムを併用していました。
運用の煩雑さを解消するため、Web側が主導してシステムの一本化を進めています。
飲食店の現場は、仕込みや接客、経費精算など日々の業務だけで手一杯になりがちです。
そこで、Web担当がSNSでのイベント告知や画像撮影、投稿制作を巻き取っています。
加えて、社内のデザインチームが店舗の看板やメニューの印刷物も手がけています。
特に力を入れているのがLINE配信です。
基本的にはすでに来店経験のあるファン層に向けた発信です。
新しく登場したカクテルやイベント情報、定期的なクイズ企画(詳細は別コラムで紹介済み)などを発信しています。
単なる集客ではなく、「もっと好きになってもらう」ための関係構築を意識しています。
加えて、Googleビジネスプロフィールの情報整備も継続的に行っています。
アパレルショップの場合
ECの運営を担当しています。
メルマガ配信をはじめ、自社で構築しているフルスクラッチのECシステムを活かしています。
クライアントごとの事情に合わせた柔軟な対応を、普段から継続的に行っています。
もちろんShopifyなど他システムを利用しているクライアントにも、できる限り対応しています。
最近取り組んだのが、インバウンド需要の高まりへの対応です。
実店舗側からインバウンドのお客様が増えているという話を聞き、EC側でもAIによる多言語翻訳機能を導入しました。
また、Instagramの運用に力を入れているクライアントもいます。
ただし、フォロワーが増えるだけでは売上向上に直結しないという課題もありました。
そこで、ECサイトへの導線、Instagramのショップ機能連携、Googleのショップ登録などを整備しました。
「見てもらう」から「購入につなげる」までの導線を一本化しています。
特徴・注力しているポイント
飲食系・アパレル系、業態は違っても、弊社が連携において大切にしているのは共通しています。
現場密着のヒアリング体制
一つは、現場の状況を継続的にヒアリングする体制です。
月次の定例会議に限らず、必要に応じてこまめに連絡を取り合っています。
現場で今何が起きているかを把握したうえで、施策に反映しています。
店舗に立てないからこそ、現場からの一次情報を大事にしています。
Web施策に留まらない対応力
もう一つは、Web施策だけで完結させない対応力です。
BAR飲食店では、デザイン制作(看板・メニュー)まで一気通貫で担っています。
アパレルショップのように、ECシステムをフルスクラッチで構築しているからこそ、クライアントごとの要望に柔軟に応えられます。
システムや制作面も含めて幅広く対応できる点を強みにしています。
実店舗×Webでよくあるつまずき
実店舗とWebの連携では、次のようなすれ違いが起きやすいものです。
「Webの効果が見えない」という声
一つは、「Webの効果が見えない」という現場側の実感です。
お客様から直接「Webを見て来ました」と言われない限り、現場スタッフはWeb施策の効果を体感しにくいという声が上がりました。
優先順位のずれ
もう一つは、優先順位のずれです。
クライアント先から「お問い合わせがあったらすぐ教えてほしい」と言われたことがありました。
これは「問い合わせ=売上に直結する」という現場の温度感を、Web側が十分に理解できていなかったために生じたずれでした。
成功のポイント①:現場を巻き込む「見える化」
こうしたすれ違いを解消するために有効なのが、成果を「見える化」する工夫です。
効果を実感できる仕組みづくり
例えば、「SNSを見た」と伝えると使えるクーポンを用意します。
そうすれば、現場スタッフも来店のたびにWeb経由の効果を実感できます。
また、アクセス解析のパラメータを活用し、SNS経由の来店・問い合わせがどれだけあるかをデータで示すことも、現場の納得感につながります。
優先順位のすり合わせ
クライアントごとに何を最優先しているのかを、最初にすり合わせておくことも欠かせません。
「問い合わせへの即対応」を求めているのか、「認知拡大」を求めているのか。
現場の温度感を把握したうえで施策の優先順位を決めることが、信頼関係の土台になります。
成功のポイント②:実店舗とWebの役割分担・連携フロー
基本の役割分担
実店舗とWebの役割分担は、クライアントによって多少異なります。
基本の形としては、「現場は接客・在庫管理」「Webは集客・予約導線」という切り分けが機能しやすいと感じています。
連携を続ける仕組み
連携を継続させる仕組みとしては、半年から1年単位でスケジュールを組みます。
月に1度の定例ミーティングで、翌月の施策を話し合うのが基本形です。
ただし月1回に限らず、必要に応じてこまめに連絡を取り合うことで、現場の変化にWeb側もタイムリーに対応できます。
まとめ:実店舗の売上を伸ばすには、Webの「信頼構築」と「導線設計」が欠かせない
実店舗の売上を伸ばすうえで、Webマーケティングが果たす役割は決して小さくありません。
飲食店にとっての価値
飲食店であれば、来店前の情報はほとんどネット上でしか確認できません。
そのため、SNSやLINEでの発信は「信頼感を醸成する」という価値を持ちます。
実際、BAR飲食店では、いつも配信しているLINEが一か月届かなかっただけで、不安になって様子を見に来店してくれたお客様がいたというエピソードもあります…。
ファンとの継続的な関係が、リピート来店という形で数字に表れているのです。
ECにとっての価値
一方、ECであれば売上への影響はより直接的に数値で見えます。
実店舗とWebの両輪をどう連携させるかによって、見える成果の出方は変わってきます。
いずれにしても、「現場とWebが同じ方向を向いて動く」ことが、実店舗の売上を伸ばす一番の近道だと言えるでしょう。
自社への相談導線(CTA)
実店舗とWebマーケティングの連携体制づくりでお悩みの方は、ぜひ一度当社までご相談ください。
