「競合をリサーチして」「この数値を要約して」——AIに毎回同じような指示を書いていませんか。その指示を一度“登録”しておき、役割ごとの専門スタッフのように呼び出せるのが、AIエージェントです。この記事では、Claude Codeを使って自分専用のエージェントを作り、実際に呼び出すところまでを、コピペできる形でご紹介します。
目次
自分専用エージェントを作ってみよう
汎用のAIは便利ですが、毎回ゼロから指示を書くと、指示の出来しだいで結果がぶれます。エージェントとして役割を固定しておけば、「競合リサーチ担当」「レポート下書き担当」のように、いつ呼んでも同じ品質で働いてくれます。担当者が変わっても再現できるのが、大きな利点です。
ビルトインエージェント
オリジナルのエージェントを作成する前に、Claudeにはすでに準備されているエージェントがありますので、少し紹介いたします。
Explore(探索・調査)
複数のファイルやディレクトリを横断してざっと調べ、要点だけを返す読み取り専用の調査役です。軽量モデルで動き、広く探して結論だけ持ち帰りたいときに向きます。
Plan(設計・計画)
タスクの進め方を組み立てる“設計担当”です。いきなり作業に入る前に、手順や段取り、考慮すべき点を整理させたいときに使います。
general-purpose(汎用)
特定の役割に寄らない万能型。複雑な調べ物や、複数ステップにまたがる作業を任せたいときの受け皿になります。どのエージェントに振るか迷う作業の既定の担当です。
オリジナルのエージェントを作る前に、基本のエージェントでできるものがあればぜひ探してみてください。
30秒でわかる仕組み ― メインとサブエージェント
Claude Codeでは、全体を見て指示を割り振る「メイン(マネージャー)」と、特定の仕事に特化した「サブエージェント(専門家)」が分かれています。あなたが依頼すると、メインが内容を判断し、適した専門家に作業を任せる、というイメージです。Claude Codeには最初から調査用(Explore)や計画用(Plan)のエージェントが備わっていますが、この記事では自分の業務に合わせた「カスタムエージェント」を作ります。
作り方の全体像 ― Markdownファイル1つ
作り方は驚くほど簡単で、Markdownファイルを1つ置くだけです。ファイルの置き場所は2つあります。
- .claude/agents/ … そのプロジェクト専用。チームでGit共有できます。
- ~/.claude/agents/ … 自分のどのプロジェクトでも使える個人用。
手で書く代わりに、Claude上で 「〇〇するサブエージェントを作って」と入力すれば、対話形式で質問に答えるだけでも作成できます。まずはこちらが手軽です。
設定項目(フロントマター)を理解する
エージェントの中身は、ファイル冒頭の「フロントマター」で決まります。主な項目は次の4つです。
|
項目 |
必須 |
役割 |
|---|---|---|
|
name |
○ |
エージェントの名前。小文字とハイフン(ケバブケース)で付けます |
|
description |
○ |
何をする係か。ここの精度が「自動で呼ばれるか」を左右します |
|
tools |
○ |
使える道具。必要最小限に絞るのが安全です(例:Read、WebSearch) |
|
model |
任意 |
使うAIモデル。haiku(軽量)/sonnet(標準)/opus(高度)/inherit(親と同じ) |
とくに description は重要です。「いつ・何のために使うか」を具体的に書くほど、メインが的確に振り分けてくれます。
【実践】コピペで作る3つのエージェント
そのまま .claude/agents/ に貼って使える例を3つ用意しました。ファイル名は「name.md」にします。
※記載例です。詳細については
① 競合リサーチ担当(kyogo-research.md)
—
name: kyogo-research
description: 競合サイトや最新トレンドを調べて要点をまとめる係。競合調査や市場リサーチを頼まれたら使う。
tools: WebSearch, WebFetch
model: sonnet
—
あなたは競合リサーチの担当です。指定されたテーマについて複数の情報源を調べ、価格・特徴・訴求ポイントを比較表にまとめ、出典(URL・日付)を必ず添えてください。
② 月次レポート下書き担当(report-draft.md)
—
name: report-draft
description: アクセス解析データを読み込み、月次レポートの下書きを作る係。レポート作成時に使う。
tools: Read
model: sonnet
—
渡されたデータをもとに、前月比で伸びた・落ちた項目を、数値と理由の仮説つきで要約してください。
最後に「今月の一手」を3行でまとめます。
③ 記事構成づくり担当(kiji-kosei.md)
—
name: kiji-kosei
description: テーマから記事の見出し構成案を作る係。ブログやコラムの構成を考えるときに使う。
tools: WebSearch
model: sonnet
—
指定テーマについて最新情報を確認し、読者の課題→本文(H2/H3)→まとめ、の見出し構成案を作ってください。
— で囲んだ部分が設定、その下の文章が「その係への指示書」です。
その下に、マイルールを追記していきます。
ここに、普段あなたが口頭で伝えているコツ(トーン、必ず出典をつける、結論は先に、など)を書いておくほど、成果物の質が安定します。
ファイルを保存したら、その場ですぐ使えます。試しに @kiji-kosei インスタ運用のコツ のように呼び出してみて、期待どおりでなければ指示書の文章を直す——この小さな調整を数回くり返すだけで、自分の業務にぴったり合った“専属スタッフ”に育っていきます。
呼び出し方 ― 3つのパターン
作ったエージェントは、次の3通りで使えます。
1つ目は自動で任せる方法です。
「競合3社を調べて」と普通にお願いすれば、メインが description を見て適した係に振り分けます。
2つ目は指名する方法で、@kyogo-research このテーマで調べて のように名前を付けて直接呼びます。
重要な作業では、確実なこの指名が安心です。
3つ目は並列実行です。
独立した作業なら複数の係を同時に走らせられ、競合3社のリサーチを一度にこなす、といった時短ができます。
安全に使う3つのコツ
便利な反面、任せ方には注意が必要です。まず tools は必要最小限にし、書き込みや削除の権限を不用意に与えないこと。
次に、確認をはさむ設定(permissionMode を default にする)で、勝手な操作を防ぐこと。
そして、顧客情報や社外秘のデータは渡さないというルールを、あらかじめチームで決めておくことです。
エージェントを作る注意点
・万能エージェントを作らない
エージェントに任せる機能は1つに絞ってください。精度が高いものを作る場合は複雑な内容を与えるよりも1つに絞るほうが良いです。
・学習をさせる
使用頻度が高いエージェントは、メモリを有効にすることで学習し精度が上がっていきます。
・レビュー関連のエージェントはシステム制御を
前述にもありますが、レビューや修正などの作業をさせる場合は、ファイルを上書きしてしまうケースがあります。
バックアップを取る、作業内容を一度確認させる、指示がないと作業はさせない、などエージェントに指示をしておきましょう。
まずは、自分がいちばん繰り返している業務を1つ選び、作成してみてください。
マイルールや会社のルールに基づく作業ほど活用しやすく、業務効率にもつながります。
