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はじめに:お互いのために、より良い出会いを目指して
「学生にも、私たちにも、もっと良い選択をするための情報が足りていないのでは?」
このシンプルな問いかけから、私たちの採用活動は大きく変わり始めました。デジタルマーケティング支援を行う私たちにとって、自社の業務内容は専門性が高く、学生からは「イメージがつかみにくい」と言われることが少なくありません。
就職やインターンシップは、学生と企業の双方にとって大切な出会いの場です。その選択が互いにとって良いものになるよう、私たちは「より深く知り合う機会」としてオープンカンパニーを実施しました。今回は、その体験と気づきについてお伝えします。
オープンカンパニーを始めたきっかけ:より良い相互理解を目指して
これまで私たちは、5日間の短期インターンを年2回(春・夏)実施してきました。その集客のために、40分程度のオンライン説明会を複数回開催していましたが、さらに改善できる点があると感じていました。
「より深い企業理解がある状態でインターンに参加してもらえないだろうか」
これまでのインターンでも、多くの学生が素晴らしい熱意と意欲を持って参加してくれていました。しかし、業界や企業への理解に個人差があるのも事実で、中にはインターン参加後に「思っていた業務と違った」という声も少なからずありました。
原因を探っていくと、インターン参加前に企業側が伝えている情報量が十分でない可能性に行き着きました。40分の説明会では、会社概要やインターン内容を伝えるだけで精一杯。学生が「自分に合った会社かどうか」を判断するための材料をより充実させられるのではないかと考えたのです。
そこで、すでに高い水準で実施していたインターンをさらに充実させるため、より内容の濃いオープンカンパニーを開催することにしました。
オープンカンパニーの全体像:伝える内容と形式
オープンカンパニーは、インターン参加への前段階として位置づけ、以下の内容で構成しました。
【プログラム内容】
- 企業説明(業務内容・教育体制)
- デジタルマーケティングの基礎知識と実務
- 現場社員による働き方や業務についての座談会
- キャリア設計プログラムの案内(人生設計プログラム)
- インターンシップの詳細紹介
オフィスに来社してもらうケースとオンラインで実施するケースの両方を用意し、計7回実施。合計16名の学生に参加いただきました。
通常の説明会と大きく異なる点は主に二つあります。まず所要時間が3~4時間と長めであること。そしてもう一つ、特に重視したのが参加社員のキャリアの多様性です。
これまでのオンライン説明会ではインターン担当や人事担当が中心でしたが、オープンカンパニーでは意図的に様々な立場の社員が参加しました。入社間もない新入社員、現場でチームを引っ張るエース級の中堅社員、会社全体の方針を決める経営層まで、バランス良く社員を配置したのです。
この工夫には明確な理由があります。学生が接する社員の数が少ないと、「その人の印象=会社の印象」になりがちです。しかし幅広いキャリアステージの社員と交流することで、学生は自分の将来像をより具体的にイメージできるようになります。また、社員同士のコミュニケーションの様子も自然と伝わるため、社風や人間関係の雰囲気も感じ取ってもらいやすくなります。
このように、単なる会社説明ではなく、私たちの仕事の中身や社風、そして一緒に働く人たちの人となりを、じっくりと伝える場としました。
成果:さらに充実したインターン体験へ
オープンカンパニーを経て、約半数の学生がインターンシップにエントリーしてくれました。特筆すべきは、事前理解の深まりがもたらした効果です。
会社の方針や業界についてより深い知識を持った上でインターンに臨んでくれるため、学生のコミットメントや質問の具体性が一段と高まりました。これまでのインターンでも多くの優秀な学生が参加してくれていましたが、オープンカンパニーを通じてさらに効果的なインターン体験を提供できるようになったと感じています。
また、オープンカンパニー後にインターン参加を見送った学生についても、「自分の希望するキャリアとは少し方向性が違うと気づいた」などの前向きな理由が多く聞かれました。これは見方を変えれば大きな成果です。お互いの時間と労力を大切にし、早い段階で自己理解と企業理解を深められたことは、学生にとっても企業にとっても価値があると考えています。
デメリットと課題:リソースとハードルのバランス
もちろん、課題もあります。
最も大きなデメリットは、社内リソースの圧迫です。様々な部署から複数の社員が参加するため、業務への影響は否めません。インターンは会社の重要な取り組みですが、今後は開催回数や内容など、より最適なバランスを模索していきたいと考えています。
もう一つの課題は、初期ハードルの上昇です。気軽に参加できる40分のオンライン説明会と比べ、3~4時間のオープンカンパニーは学生側にもある程度の覚悟が必要です。その分、広告やインターン特設ページ、SNSなどを活用して、早い段階から興味を持ってもらうことがより重要になってきます。
オープンカンパニーで大切にしたこと:相互理解と誠実なコミュニケーション
この取り組みを通じて私たちが最も大切にしたのは、「相互理解」と「誠実なコミュニケーション」です。採用活動は企業側が一方的に学生を選ぶプロセスではなく、お互いがベストな選択をするための対話の場だと考えています。
デジタルマーケティングの仕事では常に「相手の立場に立って考える」ことを重視していますが、それは採用活動においても同じです。学生にとって就職活動は人生の大きな岐路。だからこそ、私たちは以下の点を大切にしました:
1. 情報の透明性を高める:企業と学生の間の情報格差をなくし、互いに納得できる選択を可能にする
2. リアルな体験の提供:美化された企業像ではなく、実際の雰囲気や業務内容、働く人の素の姿を伝える
3. 多様な視点との出会い:様々なキャリアステージの社員との対話を通じて、多角的な企業理解を促す
これらは結果的に、私たちがクライアント支援で大切にしている「ユーザー中心設計」の考え方とも共鳴するものでした。
クライアント企業への提案:学生と企業、双方にとって価値ある体験を
同じように採用やインターンで学生とのミスマッチに悩んでいる、あるいは集客に苦戦している企業には、ぜひオープンカンパニーの実施をご検討いただきたいと思います。特にBtoBビジネスや専門性の高い業種では、学生の理解を深める効果が高いでしょう。
オープンカンパニーを学生と企業の双方にとって価値ある体験にするためには、以下の点がポイントになります:
1. 事前の情報発信:業界や仕事内容について、事前に知ってもらうための工夫を
2. 本音で語れる場づくり:飾らない企業の姿を伝えることで、互いに納得できる選択を
3. 多様な社員の参加:様々なキャリアや背景を持つ社員との対話を通じて多角的な理解を促進
当社はデジタルマーケティングのノウハウを活かし、学生と企業の間に誠実な対話の場を作るお手伝いができます。採用活動に課題を感じている企業様は、ぜひご相談ください。採用サイトの構築からオープンカンパニーの設計まで、一貫したサポートが可能です。
おわりに:学生にとって意義ある体験を
私たちの業界は、なかなか学生からは業務のイメージが持ちづらいと言われる専門分野です。だからこそ、このようなオープンカンパニーの取り組みは今後も続けていきたいと考えています。
学生にとって有意義な体験となり、自分の将来を考えるきっかけになる。そして企業にとっては、本当に一緒に働きたい人材との出会いにつながる。そんな場を作り続けることが、私たちの責任だと感じています。
今後もインターンや採用活動に役立つ情報を発信していきますので、ぜひご注目ください。